Three poems from Misuzu KANEKO




Japanese Classical Literature Audiobooks show

Summary: 八百屋のお鳩 おや鳩子ばとお鳩が三羽八百屋の軒でクックと啼いた。 茄子はむらさきキャベツはみどりいちごの赤もつやつやぬれて。 なあにを買おうぞしィろいお鳩八百屋の軒でクックと啼いた。 二つの草  ちいさい種は仲よしで、 いつも約束してました。「ふたりはきっと一しょだよ、 ひろい世界へ出る時は。」   けれどひとりはのぞいても、 ほかのひとりは影もなく。あとのひとりが出たときは、 さきのひとりは伸びすぎた。   せいたかのっぽのつばめぐさ、 秋の風ふきゃさやさやと、 右に左に、ふりむいて、 もとの友だちさがしてる。 ちいさく咲いた足もとの、 おみこし草を知りもせず。 折り紙遊び あかい、四角な、色紙よ、これで手品(てづま)を使いましょ。 私の十(とお)のゆびさきで、まず生まれます、虚無僧が。 みるまに化ります、鯛の尾に、ほらほら、ぴちぴちはねてます。 鯛もうかべば帆かけ舟、舟は帆かけてどこへゆく。 その帆おろせば二艘舟、世界のはてまで二艘づれ。 またもかわれば風ぐるま、ふっと吹きましょ、まわしましょ。 まだも変わってお狐さん、コンコン、こんどはなんに化きょ。 そこで化けます、紙きれに、もとの四角な色紙に。 なんてふしぎな紙でしょう、なんて上手な手品(てづま)でしょう。 Many thanks for the supporters at Patreon who keep me motivated !